お詫びと訂正(オーディオアクセサリー152号)2014/02/22 07:56

昨日発売になった音元出版の季刊「オーディオアクセサリー152号には、私もいろいろ執筆させてもらっています。わが家にも昨日見本誌が届いたんですが、1件ちょっと困った誤植があるもので、この欄で訂正をしたいと思います。

193ページの上段、光城精工のアクセサリーで、SOLDERLESS CABLE KITという製品を私が紹介しています。本文下段の4~5行目、「挿し込む際にはネジをしっかり締めておくことに気をつけるくらいか」となっていますが、あそこでネジを締めちゃったらケーブルが組み付けられません。「しっかり緩めておくこと」に気をつけなければならないのです。

SOLDERLESS CABLE KIT

光城精工 SOLDERLESS CABLE KIT ¥9,999(税別 ケーブル3m、RCAプラグ8個入り)

結構注目されているキットですからもうお手元へ導入された人も多いのではないかと推測します。そういう人ならすぐお分かりになるかと思いますが、あのキットはケーブルを必要な長さに切り、芯線処理を何もせずにプラグの根元へ圧し込んでやるだけでプラグと芯線が導通する仕掛けです。で、挿し込んだケーブルが抜けないようにするため締めネジがプラグに装着されている、と。

そうやって精度良く導通を可能にするため、プラグの穴はケーブルの口径ギリギリにあけられています。それで、締めネジを十分に緩めておかないとケーブルの被覆と干渉して上手く圧し込めなかったり、被覆にしわが寄ってしまったりしがちなのです。何のことはない、私が1本目でそれをやっちゃったのですね。

私も元・編集者ですから、雑誌の誤植は校了までどんなに頑張って目を皿にしても、刷り上ってきた見本誌をパラパラと読んで「うわっ!」と顔から火が出る思いをしたことが数え切れないほどあります。読者の皆さんへは言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、書物にしろ雑誌にしろこのブログを含むウェブ記事にしろ、文字を大量に集積したものにとって本質的に誤植は避けられないものだと思っています。

しかし、今回の間違いはあまりにも悪いところをピンポイントで突いてしまいました。あの記事をお読みになって製品を購入された人が、記事の通りに組み立てようとしたら絶対に組み上がらないんですからね。いやはや、申し訳ありません。

読者の皆様へ謹んでお詫びの上、訂正させていただきます。

わがリファレンス・ソフト(ジャズ編)2014/02/22 09:57

わがリファレンス音源について続けます。お次はジャズ編といきましょう。

ジャズは実のところ腰を据えて聴き始めてからまだ日が浅く、大したライブラリーがありません。別段嫌っていたわけじゃなくて、あまりにも膨大な音楽的資産があるもので、どこから入っていいのか分からず、途方に暮れていたというのが正直なところです。

でも今は便利な世の中になりましたね。YouTubeで聴けるジャズを片っ端から再生し、好みのジャンルとそうでもないものを選り分けていって、「おぉこれは」というアーティストと盤をCDやハイレゾ、中古レコードなどで追いかけるということをやっています。

これまでもいわゆる「定番もの」の盤は割合と買うようにしていました。ソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」やアート・ペッパーミーツ・ザ・リズムセクション」、オスカー・ピーターソンプリーズ・リクエスト」、マイルス・デイヴィスクールの誕生」、ジョン・コルトレーンブルー・トレイン」なんかは、ジャズをじっくり聴き始める前から主にCDで購入、音楽として楽しみ、また試聴盤としても活用してきたものです。

そんな中で一番よく使っている試聴盤は、先のエントリで触れた通り断然ビル・エヴァンス・トリオワルツ・フォー・デビイ」です。いや何のことはない、CDとLPの両方で持っているからというだけのことなんですがね。CDは比較的新しいデジタルリマスタリングの国内盤で、LPはアメリカのFantasy社が出しているごくごく普通の廉価盤です。

ワルツ・フォー・デビイ

CD

ビル・エヴァンス・トリオ ワルツ・フォー・デビイ

ユニバーサル UCCO9003 ¥1,100

買ったのは7~8年も前だったか、当時としてはビックリするほど安価な1,100円だった盤だが、かなりしっかりとしたリマスターがなされているようで、音の厚みや血の通った質感など、CDでも結構やるじゃないかと驚いたものだった。ちなみにわが家にあるLP盤は米Fantasy社製で型番はOJC210。こちらはいささか安っぽいが割合と自然な、廉価盤によくある質感を聴かせる。単体で聴いていればこちらでも結構悪くない。

音は結構違って聴こえます。何とCDの方がずっと音のきめが細かく高品位な音に聴こえるんですね。ただ、ライブ会場の聴衆が立てる音なんかは不思議とアナログの方が自然に聴こえます。デジタルリマスターでギリギリまで品位を高めたCDに対し、アナログは定評ある会社ではありますが1枚10ドルやそこいら(日本で1,200円くらいでしたからもっと安いかな)で売る廉価盤ですからそう手間もかけられないんじゃないかと。そういった事情がそのまま出た違いなのかなという気がしています。

オリジナルのLPなんて聴いてしまったら前2者とも物の数には入らないのかもしれませんが、それでも楽曲、演奏、録音とも結構気に入ってしまっているのは、さすが歴史的名作ならではといったところですかね。

ほか、いつも持ち歩いている仕事用CDケースの中に入っているのは、ジャック・ルーシェ・トリオの「四季」ですね。おなじみヴィヴァルディの楽曲をジャズに組み直した演奏はいくつも耳にすることがありますが、中でもこれは素晴らしい演奏と、かのテラーク・ジャズならではの吹っ飛ばされるような迫力が大いなる聴きどころです。この盤、何の気なしにのぞいていたアマゾンでたまたまバーゲン1,200円だったもので購入しました。だいぶ前の話ですし、今はもう少し高くなっているんじゃないかなぁ。

四季

CD

ジャック・ルーシェ・トリオ ヴィヴァルディ/四季

米TELARC CD83417 ※輸入盤

テラーク・ジャズならではの豪快で吹っ飛ばされるような低音を楽しませながら、音像は実体感たっぷりで渋い艶を放ち、ウッドベースは時に遥か遠くで鳴っているような効果が施された箇所もある。演奏/録音とも何度聴いても飽きることのない、素晴らしい盤だと思う。

もう1枚いつも持ち歩いているいるジャズの盤というと、サイモン・ラトルロンドン・シンフォニエッタを振った「The Jazz Album」というのがあります。レナード・バーンスタインジョージ・ガーシュウィンダリユス・ミヨーイーゴリ・ストラヴィンスキーといった作曲家たちが繰り広げた、ジャズ的なテイストを色濃く感じさせる楽曲を取り上げた盤です。バーンスタインは「プレリュード、フーガとリフ」、ガーシュウィンはおなじみ「ラプソディ・イン・ブルー」の初演版、ミヨーは「世界の創造」、ストラヴィンスキーは「エボニー・コンチェルト」と、実にいいところを選んでいます。他にもたくさん歌ものなども入っていますし、まだ売っているようなら大いにお薦めの盤です。

The Jazz Album

CD
The Jazz Album - A Tribute to the Jazz Age

サイモン・ラトル指揮、ロンドン・シンフォニエッタ
英EMI 3 88680 2 ※輸入盤

歌ものの一部を除いてこの盤に収録された曲の大半は別の演奏でも持っているが、この盤が一番好きな演奏が多い。録音はクラシック的な空間込みの方法論で、そう広くないホールかクラシック用のスタジオで録られたような感じだ。掲載しているジャケットはEMIの廉価盤のもので、全く面白くもないものだが、ラトルの顔が掲載されたものなど、いくつかの版があるようだから、掲載しておいて何だが、お探しの人はジャケットを当てにされない方がよろしいかと思う。

CDではあとリターン・トゥ・フォーエバーの「浪漫の騎士」をよく試聴用に使っています。これは前述のYouTube一気聴き中に一発で気に入り、その日のうちにネット通販で買い求めたものです。チック・コリアとその手勢が最もフュージョンの先端を走っていた時期、ある意味でプログレッシブ・ロックあたりと近い音楽性へ至った盤なのではないかと勝手に思っています。

浪漫の騎士

CD

リターン・トゥ・フォーエバー 浪漫の騎士

米Columbia CK65524 ※輸入盤

リターン・トゥ・フォーエバーはメンバーを変遷させつつ長く続いたバンドだが、これが彼らの全盛期といってよいのではないか。チック・コリア(Key)、アル・ディ・メオラ(G)、スタンリー・クラーク(Bs)、レニー・ホワイト(Dr)という布陣は再結成でもよく見かけるし、2曲目「女魔術師」も再演されているのをよく耳にする。

LPでは、数年前に日本コロムビアが復刻した重量盤が何枚かわが家にあります。その中でカーティス・フラーの「ブルースエット」と渡辺香津美TO CHI KA」はよく試聴に使っています。「ブルースエット」はオリジナル盤をよく聴いている人に聴いてもらっても「あ、これはいい復刻ですね」と太鼓判を押してもらえたし、「TO CHI KA」に至っては、たまたま所有していたアナログ黄金期のレギュラー盤よりもずっといい音で収録されていたもので驚きました。1枚3,800円(税抜き)と今思えばそう価格も高くなかったし、いい復刻だったと思います。売れ残りの新盤を見つけたらもう言うまでもないでしょうが、原価以下で程度のいい盤が中古の棚に入っていても即買いしていいんじゃないかと思います。

ブルースエット

LP
カーティス・フラー ブルースエット

日本コロムビア COJY9208 ¥3,800(税抜き)

フラーならではの太く柔らかなトロンボーンとベニー・ゴルソンのどこか素朴でウッディなテナーサックスがくっきりと定位し、全体はクールで見通しの良い音場に包まれている。ベースとドラムもでしゃばりはしないがしっかりと演奏を引き締め、実体感あふれるサウンドを聴かせる。本当にいい復刻だと思う。

TO CHI KA

LP
渡辺香津美 TO CHI KA

日本コロムビア COJY9238 ¥3,800(税抜き)

コロムビアがフュージョンを意欲的に取り上げていた「ベター・デイズ」レーベルの傑作。キャリアの長いオーディオマニアにとっては日立Lo-DのCM曲だったB面1曲目「ユニコーン」が懐かしいのではないか。もともと持っていた往年のレギュラー盤は今ひとつションボリした音で、特に高域が詰まったような感じだったが、こちらは年月を経た復刻盤だというのにより太く実体感にあふれ、高域は伸び切っている。これが本当の音だったのかと納得した次第だ。

ジャズですからモノーラルの試聴盤にも事欠きません。最近よく使っているのは「カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム」かな。私の持っているLPは東芝EMIから発売された国内再発盤で、何かとあまり評判の良くない時期のものですが、それでも結構な味わいとある種「古色」に近い渋みを感じさせる、楽しめる盤です。

カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム

モノーラルLP

ケニー・ドーハム カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム

東芝EMI BLP1524 ¥2,300

単なる国内再発盤だが、それでもどっしりと揺るぎない音像と濃厚な空気感、薄暗い照明まで見えてくるかのような音場がいい感じの盤だ。オリジナル盤ならどんな表情を見せてくれるのだろうと思う。

あとは前述の日本コロムビア復刻盤の中からアート・ペッパーの「サーフ・ライド」も使いますね。こちらも極めて優れた復刻です。

サーフ・ライド

モノーラルLP

アート・ペッパー サーフ・ライド

日本コロムビア COJY9209 ¥3,800(税抜き)

アート・ペッパーのリーダー・アルバムとして第1作となる記念碑的作品。何とも投げやりなイラストのジャケットだが、録音は1950年代前半とは思えないレンジ感と往時ならではの厚みが魅力だ。うっかり聴いているとモノーラルと気づかないまま終わってしまうことがあっても全くおかしくない。

あぁ、クラシックと比べてずいぶんアッサリとした羅列になっちゃったなぁ。これもいまだジャズを聴き始めて日の浅い"にわか"なるがゆえ、と笑ってお許し下さい。

イベント告知(3/8 大阪)2014/02/26 21:18

このところ締め切りに追いまくられてヒイヒイ言ってまして、エントリが更新できていないことをお詫びします。でもこれだけは告知しておかないとね。

きたる3月8日(土)に大阪は日本橋のオーディオショップ河口無線でセミナーを開催させてもらいます。これまでも同店では何度かセミナー講師を務めてきましたが、今回はメーカーに招かれたのではなく、私が個人的に頼んで枠を取ってもらっちゃいました。

ネタは他でもない、昨年に復刻発売されて好評を博している故・長岡鉄男氏の単行本「外盤A級セレクション(1)」に掲載された名盤のいくつかを皆さんと一緒に聴いていこうというものです。

開催時間は午後1時15分から2時間程度を予定しています。私は夜の深夜バスに乗り遅れなければいいから、その後も河口さんがいいよといってくれるならいくらでも続けられるんですが、さすがにそれは難しいかなぁ……。

当日用意する機材がほぼ決まったので告知します。

PD-171

アナログプレーヤー:ラックスマン PD-171 ¥395,000(税抜き)
エミネント

カートリッジ:マイソニックラボ エミネント ¥300,000(税抜き)

VIDA

フォノイコライザー・アンプ:オーロラサウンド VIDA ¥328,000(税抜き)
DCD-SX1

デジタルプレーヤー:デノン DCD-SX1 ¥550,000(税抜き)
E-460

プリメインアンプ:アキュフェーズ E-460 ¥480,000(税抜き)
FE206En

スピーカーユニット:フォステクス FE206En ¥11,000(1本、税抜き)
BK206En

バックロードホーン:フォステクス BK206En ¥60,000(1本、税抜き)

こんなところです。ひょっとしてデジタルプレーヤーは変わるかも。スピーカーにトゥイーターはもちろん追加されますが、まだ銘柄は何がくるか分かりません。あとはケーブルはじめアクセサリー類で長岡流の"野蛮"なサウンドを目指したいと思います。

これだけのハードを揃えてもらったのですから、ソフトもできるだけたくさん持っていかなきゃいけませんね。往復は激安の深夜バスに頼る予定だから、あまり大きな荷物を提げていくわけにいかないのが辛いところですが。

どうか「単行本○○番のソフトなら持ってるよ」という人は、どんどん会場へお持ち下さい。時間の許す限りガンガンかけていきたいと思います。

当日、会場で皆様とお会いできることを楽しみにしております。